【エッセイ】春を祝福する、フルーツティー・ソーダみたいに

よく行く散歩コースの桜並木も、見どころを迎えた。

桜は枝先からではなく、幹に近いほうから咲き始める。

なんとなく逆だと思っていたけれど、ゆったりと枝葉を伸ばした木々を見ていてそのことに気づいた。言われてみると養分に近いところから咲くのは当たり前で、それに気づかなかった自分がなんだか恥ずかしい。

中心部にはちらほら緑が入り混じってにぎやか、枝先はまばらでやや寂しげといった様子の桜の木。3月生まれの私は、その枝先で、少々遅まきながら咲き始めているものたちの気持ちがなんとなくわかる気がした。順番は遅れているかもしれないが、その場所は空のいちばん近くでもある。ならばその特等席で、出来るだけたくさんの光を迎えればいいよ。心の中からそっと、そんなエールを送る。

風が巻き起こるたび、桜吹雪が淡く舞う。足もとを見ると、ツバキのように5枚花弁のついたまま首からぽとりと落ちているものを幾つも発見した。桜はガクではなく、花びらから散るのではなかった? …まあいいや。時代は変化している。来月からは元号が平成から令和へ。だからきっと、そんな新しいタイプの花も出現してきていたってすこしもおかしくはないのかも、ね。

「桜散る」というとなんだか良くない響きでもある。だからというわけではないけれど、私は花びらたちがこれから世界へ「還って行く」のだという気がしてならない。

だって、親元である幹から旅立ってからこそが人生。そして人生には往路しかない。そうでしょう?

足もとの模様は刻々と変わっていく。先に散ったものから奥へ奥へと流され、混沌という名前のとてつもなく大きな世界に呑み込まれていく。その「世界」とやらには、じつにさまざまな種類の花が咲くというよ。どうせならフレーバーとフルーツのにぎやかなアイスティーみたいに、沈んで浮いて、楽しい毎日を。

「さあ、旅立ちの時だよ」とつぶやいて私も立ち上がった。白いシャツにひとひら、淡いピンク色をつけて。

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Memo – Fruits Tea Soda

“My iced tea recipe to celebrate spring, in refreshing way possible.”

Ingredients (Serve 3)

Dargeeling tea 5g
Water 300ml
Make iced tea, make it strong for the ones prefer.
【A】
Apple 1/4 (cut 8mm)
Honey 2 tsp
【B】
Soda 180ml
Apple juice 240ml
Pour ice tea from the top of mixed A and B gently and complete in two layers.

【Topping】
Piece of blight light staying on the table after breakfast.

 

2019.4.8